為替のプロの世界について
為替は、ただ変動するだけではありません。
また、ただニュースで動向を伝えるための指標であるだけでもありません。
まさに取引参加者がいて、この変動が起きていることを認識する必要があります。
為替取引を仕事にしている人がいます。
ここで、その風景を少し覗いてみたいと思います。
為替は通常、ドル/円なら動きの激しいときで前日比2〜3%程度の変動です。
中央銀行がコントロールをしているからです。
通常は海外に行くときなどに1ドルを115円に換算して交換する、
といったことしかしませんが、取引参加者はこのわずかな変動を舞台にして、
架空の元本を設定して変動の効果を100倍にする、
つまりレバレッジをかけて取引することがあります。
これはスワップやオプションといったデリバティブの領域ですが、
まさに通貨取引で大きな勝負に出るには、この世界での取引が中心です。
想定元本1億円で、100万円を運用する、といったことが、可能になる世界です。
このほかにも、
スワップとオプションを組み合わせたスワップション取引というものもあります。
こうなるとただドル/円やユーロ/円の現物レートを
見てればいいわけではなくなります。
ボラティリティの要因や数値も、より複雑です。
なにしろスワップやオプションには例えば6ヶ月年後のレートを予測したり115円より
円安になったらどうする、といった条件を組み合わせて考える必要があり、
すなわちたくさんのパラメーターの中で利鞘を取りにいくことになります。
2通貨ではなく5通貨や6通貨を組み合わせた取引になると、大変です。
金融関数をエクセルに展開するとか、計算・取引専用のツールやソフトが必要です。
銀行では、ほとんどが債券の運用、次が株式の運用で余っているお金を増やしていま
すが、僅かながら、為替取引もしています。
ですので、銀行の資金証券部や資金運用部と呼ばれる部署では、株式のチーム、
債券のチーム、そして為替のチームに分かれているのが通例です。
以前、為替担当の人と仕事の約束をしていたのですが、
突然キャンセルになってしまいました。
理由は、「相場が動いて大変だから!」
とのことでした。
株や債券担当の人は、そんなことはありません。
基本的に15時以降はお会いいただくことができます。
その為替担当の方に、後から話を聞きました。
担当の方:「先日は申し訳ありませんでした!つい画面から離れられなくなっちゃって(笑)」
私:「いえいえ。しかし、当日は確かにドルが急落しましたから、やはりその影響ですか?」
担当の方:「そうそう。やっぱポジションを見とかないといけないし、ブローカーの人からも連絡入るからね。」
※ プロの間では、為替ブローカーが為替取引を仲介することがよくあります。
私:「いや〜 やっぱり株や債券とは違って、常にマーケットを見てないといけないっていうのは大変ですよね。お忙しいところお時間いただきましてありがとうございました。」
担当の方:「本当に申し訳ないです!為替は逆に夕方から動き出すっていうこともあるんですよね。もうちょっと自分も勉強しないといけないですね。もう少し人員も欲しいです。もう私もここに来て8年くらいですからね。」
私:「それでは、弊社のツールについてですが・・・」
担当の方:「うわっ 見ると欲しくなっちゃうんだよね(笑)」
彼らに接していて思うのは、彼らは為替を楽しんでいますね。
Excelとの数字の戦いにも、どこか生きがいがあるように思います。
仕事中は鬼気迫るものがあるのでしょうが・・・。