原油の値段と為替の関係

原油の値段と為替の関係

ガソリンの値段がずいぶん高くなりましたね。

 

我が家の車は燃費が悪くてタンク容量が大きいので、

 

給油のたびに一万円がなくなる状態です。

 

 

この原油価格の値動き、家計だけでなく為替にも影響を与えますので、

 

基本を押さえて今後の動きを考えてみましょう。

 

 

なぜこの数年原油価格が高騰を続けたのか。

 

 

原因としていくつかの要素が考えられます。

 

 

 

・中国を初めとする新興国の経済発展。

 

・石油資源原産国の生産量停滞。

 

・投機家による買い占め。

 

 

 

 

1.中国を初めとする新興国の経済発展

 

中国やインドが今急速な経済発展を遂げていますね。

 

それに伴い、世界的に原油の需要が上がってきています。

 

ある商品の値段は、需要と供給のバランスで決定されます。

 

原油の需要が高まれば、それだけ値段が高くなるわけです。

 

 

 

 

2.石油資源原産国の生産量停滞。

 

それならば、原油を供給することに力を注げば価格は下がることに

 

なるはずです。

 

ところが、近年の不安定なイラク情勢がそれを困難なものにしています。

 

イラクは有力な石油産出国ですが、テロリストによる不安定な正常では

 

原油の増産や精製能力の向上にまで手を回せないのが実情でしょう。

 

 

 

 

 

3.投機家による買い占め。

 

各国が原油を燃料や原料として必要とする。こういった実際の需要を、

 

実需と言います。

 

それに対して、これから原油の値段が高くなりそうだと考える人々が

 

原油の現物、あるいは先物商品を買おうとする事を投機と言います。

 

実際、実需と投機では投機のほうが圧倒的に量が多いのです。

 

ですから、投機家による原油の買占めが今回の原油高の

 

一番の原因となっていると言えます。

 

 

さて、物の値段が高騰すると、売る側が得をして買う側が損をする

 

流れになることがあります。

 

今回の原油高でも産油国は潤い、輸入に依存している国は悪影響を受けます。

 

 

 

 

 

 

 

◆原油市場と為替の関係◆

 

市場と通貨の関係は、その商品に対する需要と大きく関係します。

 

原油高を受けて、「経済的な利益を得る国」と「支出が増える国」が

 

でてくるわけです。

 

原油を輸入に依存していると、価格の高騰の影響で産業に関わる

 

コストが上がります。

 

 

また、原油を輸入するために、これまで以上の資金が必要になるのです。

 

 

そうなると競争力がなくなり、通貨が売られる動きになります。

 

こうした国にとって、長期の原油価格上昇は経済に悪影響を与えます。

 

 

逆に、代表的な原油生産国である中東諸国は、経済的に潤うことになります。

 

しかし、長期的に見れば原油高による世界的な経済不振は他の形で産油国に

 

も悪影響を与えることになるでしょう。

 

 

原油価格が余りに高騰すると世界経済には大きな影響がでます。

 

物価が上昇し、金利も上昇していくために景気が落ち込んでくるという流れになってくるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

主要国の関係を見てみましょう。

 

 

日本

 

言わずと知れたことですが、日本は資源と言うものが

 

ほとんど取れない国です。

 

ですから石油に対するエネルギー依存度も高い。

 

よって、原油高騰は円安要因となります。

 

 

 

アメリカ

 

自国で原油を産出しているにもかかわらず、産油量以上に膨大な原油を

 

消費しているため、原油価格の上昇は経済の悪化を招きます。

 

 

 

イギリス

 

イギリスは、産出量が少ないとは言え、北海油田を持っています。

 

ですから、日本やアメリカほど影響を受けにくい国といえます。

 

しかし、最近の貿易収支が赤字に転落傾向であるため、

 

通貨人気はカナダドルに奪われているようです。

 

 

 

カナダ

 

天然資源が豊富で、石油や天然ガス資源を産出しているカナダ。

 

自国で使うことが目的のイギリスとは違い、輸出できる国です。

 

 

原油高騰により利益を得る国ですから、国の景気も上向きになり、

 

通貨高となります。

 

経済的な安定感もあり、カナダドルの堅実な人気の要因となっています。

 

 

 

オーストラリア

 

原油を初め、鉱物資源が多く産出される国です。

 

このため、原油高で景気が上向きになります。

 

燃料関係商品の価格動向が景気の動向と一致しやすい国です。

 

 

原油を初めとして、各国の保有資源がその国の通貨に与える影響は、

 

まちまちです。世界の動向やニュースとともに各国の資源状況を

 

頭に入れておくと有利ですね。

 

 

 

 

 

 

しかし、最初にお話しましたように、今回の原油高騰は投機によって

 

引き起こされたものとの見方が一般的です。

 

この原油高はバブルの状態と似ています。

 

では、原油の値段はいつか下がるのでしょうか?

 

OPECは原油価格が上がったからといって供給量を小幅にしか増やす

 

つもりがないようです。

 

 

OPECにしてみれば、原油の実需がそれほどあるわけでもないし、

 

原油が高い値段で売れている今、わざわざ苦労して原油の値段を

 

下げるのは馬鹿らしいと思っているのでしょう。

 

 

つまりOPECは原油高を抑制する気はないわけです。

 

 

では、原油の値段を上げている投機筋は、今後どのような動きを取るのでしょう。

 

 

原油市場は現在過熱状態にあり、価格バブルの崩壊につながる要因は

 

数多くあるというのがアナリストの見方です。

 

中でも重要なのは、今年の原油相場の上昇を主導してきたのは

 

投機家だということ。

 

彼らは、相場が反転すればすぐさま資金を引き揚げるでしょう。

 

つまり、投機家たちは逃げ時を探っている状況ともいえます。

 

 

こういった投機的買い占めは、将来の価格上昇が見込まれる時期だけに

 

行われます。

 

 

その見通しがなくなってくれば、買い占めもなくなり原油価格は

 

自然と下がってくるでしょう。

 

 

では、原油価格はかつてのように、100円前後まで下がるのでしょうか?

 

 

残念ながらそれはなさそうで、当面は高止まりを続けるとの見方が

 

一般的です。

 

 

実需がさほど大きくない原油市場は、要人発言や供給サイドにおける

 

労働ストや製油所の事故、国連の経済制裁を受けている

 

イラクの原油輸出の振れなど突発的要因の影響を受けやすいという

 

性格を持っています。

 

 

当面価格は高止まりしながらも不安定な動きを続けるでしょう。

 

 

もし仮に今後原油価格が上昇に転じるようになると、

 

米国経済は本格的なスタグフレーション(景気が悪いのに物価が上がる

 

経済状況です。

 

 

景気が過熱して物価が高騰するインフレや、

 

景気が停滞して物価が下がるデフレと比べ、政策対応が難しい)に

 

突入する恐れがあります。

 

 

FRBや金融市場の一部には、世界最大のエネルギー消費国である米国の

 

景気鈍化が続けば原油消費も減少するのではないか・・・

 

といった期待にも似た見通しもあるようですが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆今後の影響◆

 

投機マネーによる原油価格の高騰は、日本のみならず、

 

世界中の民衆の生活に大きな影響を与えています。

 

ガソリン価格の高騰は言うに及ばず、石油製品であるプラスチック、

 

合成繊維を使った製品の値上げ。

 

それに伴う倒産や失業問題。

 

 

またガソリン代替燃料の原料となるサトウキビやトウモロコシの

 

値段を吊り上げる。

 

家畜の飼料となるトウモロコシが減り、食肉の価格にも影響を及ぼす。

 

小麦畑をトウモロコシ畑に切り替える動きが出てきて、

 

小麦の値段が高くなる。(小麦の値段高騰の陰にも投機家の関与が

 

あるようです。

 

小麦の値段が上がることを見化して小麦に投機しているんですね)

 

 

こうした投機マネーはいささか暴走気味と言えます。

 

投機マネーを規制する動きが当然出てくると思いませんか?

 

 

昨年5月のG8(主要国首脳会議)に向けた財務相会合で、

 

ドイツがヘッジファンドの直接規制を主張しましたが、

 

米英日が反対し実現には至りませんでした。

 

 

今後のキーワードとして、投機に対する規制、石油に代わる

 

新しい代替エネルギー、つなぎ法案、が挙げられるでしょう。

 

 

今後も原油をめぐる動きから目が離せません。